【ACOH-S 通信 NO.120】柔よく剛を制す(奈津子さん)

カテゴリーACHO-S通信体験者の声
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以前「柔よく剛を制す」という言葉の出典をさがして読んだ「三略」のなかに、

“柔あれば剛あり、弱あれば強ありというのが、存在の真相である。したがって、肝腎なのは、この四者の声質に通暁して、いかなる情勢の変化にも即応しうるような、自在な能勢を整えておくことである。(引用元:三略 中央公論新社)”

という文がありました。この一節から、アコーズでの練習を経て得たものを思い返してみます。

数年前に体調が崩れ、それまでの働き方ができなくなりました。頭ではまだやる気でしたが、体に引き止められたようでした。退職して、病院・漢方・整体と色々試しても効果は現れず…どこでも最後には「リラックスを」と言われましたが、もう既に休んでいるんだけどなぁ、という感じでピンと来ません。そうしている内にアコーズのことを知り、なぜか迷いもせず体験に申し込んだ覚えがあります。

迎えた初日、暖かく迎えていただき、雰囲気の良さをしみじみ感じながらも、先生の動きに目を奪われました。自然原理に忠実な、無駄のない美しさというか…。実は中国拳法の動きはちょっと大袈裟(?)な印象もあったのですが、そういったイメージとは全くの別物でした。

それからちょうど1年が経ち…太極拳はやはり奥深く、自分の上達について語れることはほぼ無いのですが、いくつもあった体調不良の症状は本当に無くなってしまいました。不調の一つだった慢性的な皮膚炎が跡形もないのを見て、いまだに不思議な気分になります。

そして停滞していた「気」が動いたからか、体調改善を通り越して色々と充実しすぎた状態になり、アコーズの練習も含めて「やるべきこと、やりたいこと、どうやって全部やれば?」という、忙しい感じになってしまいました。

けれど実は、本来の動機がここにありました。意欲的だったはずの仕事が突然出来なくなったことは戸惑いとして残っており、今後は同じような状況も克服したいと思っていたからです。

太極拳や功夫の芸術形態にはヨガに共通するものを感じ、いずれも素晴らしいものだと思いますが、太極拳等は武術ベースのため「脅威」の存在が前提であり、ここにコンセプトの違いがあると思っています。

実際、いま他人から物理的に攻撃される心配はあまり無くても、何らかの精神的な刺激はいつでも受けます。それがどのような性質でも、常に重要なのは現実との折り合いの付け方です。

太極拳に取り組むと、自分の心身の状態・自分の心身への理解・内外からの作用などをゆっくり観察することになり、現実的な知覚範囲を広げることに繋がります。

以前「リラックス」という言葉は決まり文句のようで退屈に聞こえたものですが、実際に太極拳等の、ある意味極端な状況の身体で再現しようとすると、より深くその状態の仕組みがわかってきます。このような理解は根源的なもので、応用が効きます。そうして理解できる範囲が広がると、冷静でいられる場面が増え、自分の失敗も見つめ直すことができるようになれるような気がします。体調不良が消えた理由は説明できませんが、この流れでストレスが緩和されたのかもしれません。

冒頭の引用文では「いかなる情勢の変化にも即応しうるような、自在な能勢」というひとつの理想像が示されていて、ちょっと崇高すぎるかもしれませんが、それでも太極拳は直接的なアプローチを感じられる方法の一つじゃないかな、と思います。

今は座っていてもたくさん情報が得られますが、情報だけではわからない部分があと半分くらいあると思います。だから、良き実践の場を得られることは本当に幸せです。

アコーズは扱う学問の素晴らしさはもちろんですが、何よりも先生の優しく温かな意図があって、参加する一人一人の問いかけに答えてくれる場になっています。たくさんの方がそれぞれのスタイルで参加されていて、懐の深い雰囲気があるので、私も続けることが出来ています。

先生や皆様方のおかげで、この短い間でとても元気で前向きになれたことに、とても感謝しています。いつもありがとうございます!

奈津子さんへの感想

なんと学術的な文章でしょう!
こんなに理論的な分析と説明をしてもらえて、わたし自身非常に参考にさせてもらえました。
とは言え、次回の通信の方が緊張しない様に、わたしはいつもの軽いノリで書きたいと思います。

以前の2階スタジオにいきなり深津絵里似の美人がドアを開けて入って来て、びっくりしたのを今でも鮮明に覚えています。その日体験者が来られるのをすっかり忘れていた私でした。
最初は緊張気味だったなっちゃんでしたが、皆さんの温かい雰囲気に自然に溶け込み、気付いたら、すっかり昔からいる様に馴染んでいきましたね。

なっちゃんが入ってすぐに、四月から以前のスタジオが使用できなくなり、最初は茅ヶ崎のスタジオに移動を決めていたのですが、その時は近藤さんが一人で自転車で来れなくなると言う問題にぶち当たりました。
そんな時に、入ったばかりのなっちゃんが「わたしが迎えに行きますよ」と手を挙げてくれたこと、結局スタジオは辻堂になりましたが、近藤さんもわたしも嬉しくて、優しい子だなぁと感動しました。

そうこうしているうちに、なっちゃんと薫さんがつながり、畑をやってみたいと言うなっちゃんの夢?が現実となり、今やしっかりお米などの生産者となって、仕事、太極拳、畑、などなど、充実した生活を送っているから、持病だと思っていた病がすっかり消えたのでは無いでしょうか。
そうそう、なっちゃんと言えば若いのに、お料理上手で、何でも作ってしまう、旦那さん超ラッキーな才色兼備妻でもあります。
そんななっちゃんには今度近藤さんのお宅で以前みたいな料理会を一緒にしてもらうことにしました。

さて、ここらへんでやっとなっちゃんが論文の様に分析してくれた太極拳へと話は変わります。
文章読んでなっちゃんの思考や意識の持ち方がいかに深いかに皆さんも気づかれたと思いますが、この問題意識有りで取り組む人と、そうで無い人とでは、将来大きな差が出てきます。
別に人と比べることを推奨しているのではありません。
太極拳に限らず、何に対しても、人や世間の話を鵜呑みにせず、自分の頭で考える習慣、そして、それを自分なりに消化していくことは、人生を大きく変えていくと言うことです。
日本にも、馬の耳に念仏と言う諺がありますが、中国語にも、同じ事を聞いても、ある人はそれを注意深く聞き理解する、ある人はただ耳にうるさく響くだけ、みたいな諺があり、陳老師がいつもそれを仰っていました。
問題意識を持って練習しなさい!と仰りたいのだとわたしは理解しました。
最近なっちゃんが土曜日は畑で来られなくなり、個人レッスンに来られた時に湧泉にのれてないことを自ら自覚していて、あー!自分の課題をしっかり捉えていると感心したところです。
先ず自覚があるからこそ、変われるのです。
なっちゃんがこの教室の良さ、太極拳の奥深さなどを、わたし以上に理論的に説明してくれた事で、皆さんもまた改めていろんな事に気づかされたのでは無いでしょうか?
以下なっちゃんの文章から、

太極拳に取り組むと、自分の心身の状態・自分の心身への理解・内外からの作用などをゆっくり観察することになり、現実的な知覚範囲を広げることに繋がります。

本当にその通りですね!深い洞察です。ここから得られる物は、生きる上での思考や行動に限りなく広がって行きます。
以下なっちゃんの文章

アコーズは何よりもたくさんの方がそれぞれのスタイルで参加されていて、懐の深い雰囲気があるので、私も続けることが出来ています。
 
そうですね!アコーズとは様々な価値観の違いを認め合い、お互いに尊重し、愛を与え合えるコミュニティだと思っています。

素晴らしい内容の感想をありがとうございました!

今回の感想を読んで、なっちゃんが肩の力を抜いて、一つずつ自分の課題を乗り越え、あらゆる方面で進化していく将来がわたしには見えました!これからも宜しくね!